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2016/02/08

若者の資格取得 建設業界が支えていこう(建通新聞社・建滴)

 施工管理技士の資格を取得するための技術検定の受験者が増えている。5日に発表された2015年度建築施工管理技術検定試験の学科試験の受験者数は、1級で約5000人、2級で約3000人、前年度の受験者数を上回った。

 1級建築の学科は、全年齢階層で受験者が増えた。15年度から受験資格として求められる実務経験年数が緩和された他、団塊世代の技術者の退職が始まり、1級建築の資格を持たない中堅層に資格取得を促す企業の動きもあったようだ。

 一方で、2級建築の学科で受験者数が増えた背景は1級とは異なる。2級建築では、工業高校などの指定学科に在籍する高校3年生にも学科のみの受験が認められている。2級建築の学科・実地試験は、これまで主要13都市で行われていたが、試験機関である建設業振興基金は、15年度から学科のみの受験者を対象に新たに6地区を試験地に追加。社会人と異なり、試験地までの旅費を自己負担せざるを得ない高校生に配慮した取り組みだ。来年度は盛岡市と長崎市も試験地に追加する。

 2級建築の学科を受験する工業高校生は、合格率も上昇傾向にある。13年度は26・9%だった合格率が、14年度には34・9%、15年度には38%と順調に増えた。社会人を含む全受験者の合格率(15年度=48・5%)と比べれば低いが、3年で合格率が10ポイント以上伸びたことには理由がある。

 工業高校生は、少子化の影響もあってこの10年で半減した。現状に危機感を持ち、技術検定を受験する生徒に独自の指導を行う工業高校が出始めている。

 長崎県内の工業高校では希望者を募って朝の補習を開くなど、熱心な資格試験対策を行っている。危険物取扱者や測量士補の試験対策に始まり、3年時には2級技術検定の対策に集中できるようにしているのだという。結果として、長崎県内の工業高校生の学科合格率は、他県の工業高校生と比べ群を抜いて高い。受験した全生徒が合格した学校さえある。

 ただ一方で、全国の工業高校の中には、受験した全生徒が合格できなかった工業高校もあるなど、学校・地域間の取り組みには差がある。振興基金は、高校在学中に学科を受験できる2級技術検定が、若年層を建設産業に呼び込む手段の一つになるとみており、建築・土木コースがある全国の工業高校にアンケート調査とヒアリングを始めた。長崎県のような好事例を集め、他県に水平展開するのが狙いだ。

 建設業に関係する諸制度は技術者制度が基本に置かれている。建設業許可は主任技術者を雇用して初めて取得することができる。技術者不足と向き合わなければ、施工の品質が損なわれ、企業の存続をも脅かされる恐れがある。

 こうした中で、長野県建設業協会は昨年、県内の工業高校生らを対象に2級土木施工管理技士試験の受験準備講習会を開いた。国土交通省は、16年度からは2級技術検定(学科)の受験資格を高校2年生にも与える。受験の門戸が広がり、受験者数が増加傾向にあるこの機会を捉え、事業主団体には技術者を目指す若者を支える行動をぜひ起こしてほしい。