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中央ニュース

2017/04/19

適正工期の設定 受発注者に責務規定

 国土交通省が検討している建設業法改正の骨格が見えてきた。建設業にも罰則付きの時間外労働規制が適用されることを見据え、適正な工期設定を受発注者の責務と位置付け、不当に短い工期を設定した注文者(発注者、元請け、上位下請け)に是正を勧告できるようにする。消費者保護の視点で、個人発注者に特化した情報提供・契約事項の説明などの規定も設ける。国交省は、直ちに対応すべき事項と中長期的に対応すべき事項を整理し、法改正を段階的に進める考えを示している。
 4月18日に開かれた建設産業政策会議の法制度・許可ワーキンググループに、法改正に向けた「検討の基本的な視点」として報告し、出席した委員から大筋で了承を得た。次回の会合でWGとしての提言をまとめ、政策会議に報告する。
 政府が推進する働き方改革で、建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用されることを踏まえ、建設業法に適正な工期を設定する受発注者の責務を定める。受注者には、適正な工期と適正な請負代金額で契約を結ぶ責務を課し、短工期によるダンピングを禁止。短工期の場合でも、それに見合った請負代金であれば適正な工期とみなすなど、今後、詳細を詰める。
 長時間労働の是正には、発注者の役割も重要だとして、発注者の責務にも適正な工期設定を位置付ける。加えて、適切な設計図書の指示、施工条件の明示、設計変更を行う責務も課す。
 受発注者の責務規定を設けると同時に、極端な短工期を設定した注文者に建設業法の勧告ができる仕組みも整える。現在、建設業法の勧告対象は、不当に低い請負代金、資材購入の強制などに限られており、工期は対象となっていない。制度を見直し、短工期の不適切な請負契約を結んだ注文者に勧告できるようにする。
 一方、現行の建設業法は継続的に工事を発注する企業(デベロッパーなど)と、発注経験のない個人発注者をひとくくりに扱っているが、個人発注者を保護するため、受注者に情報提供や契約内容の説明を義務付ける規定を設ける。
 この他、発注者のマンパワーや技術力を補うCM方式の増加を見据え、建設業法上にCM制度を位置づける。CMRが施工のリスクを負うアットリスク型は請負契約と同様の扱いとし、設計・発注・施工のマネジメント業務を担うピュア型は、発注者が使いやすい仕組みをさらに検討する。
 また、施工不良が発生した際、建設業許可部局が工場製品の製造者に報告徴収や立ち入り検査を行う権限も持たせる。

提供:建通新聞社