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中央ニュース

2017/04/25

入札不調の回避「全体像意識しコスト管理を」

 国土交通省は4月24日、地方自治体が発注する公共建築工事の課題と対策を検討する「地方公共団体における建築事業の円滑な実施に向けた懇談会」の2回目の会合を開いた。この中で、市役所庁舎の建て替えを進めている千葉県市原市は、入札不調を回避するためには「事業の全体像を意識したスケジュールと事業費の把握が重要」と指摘。全国建設業協会は「数量、単価が恣意的にカットされるケースがある」と発注者の意識改善を訴えた。
 民間建築の動向を反映できない市町村が、適正な予定価格や発注条件を設定できず、結果的に入札不調と事業の大幅な遅れを引き起こしている。懇談会は、受発注者双方の意見を踏まえ、公共建築の企画・設計・積算における課題を抽出し、自治体が適切に発注関係事務を行うための対応策を手引きとしてまとめる。
 2回目の会合は、受発注者双方が公共建築事業の実状をプレゼンテーション。このうち市原市は、事業を統括する技術職が2名しか専任されないことを踏まえ、CM方式を導入して外部支援を受けた。同市教育委員会の渡邉誠教育施設課長は「適切な事業予算を確保するため、基本設計の精度向上と建設物価の正確な把握が重要」と説明。基本設計には積算業務を追加し、上流段階で建設物価の把握に努めた。
 CM方式などで外部に支援業務を発注する際も「最終的な判断は発注者が下さないといけない。発注者が主体的な意識を持つことが重要だ」と続けた。
 一方、同じく庁舎建て替えを進めている茨城県日立市は、設計コンペで提案されたデザインを重視したあまり、本体工事の入札不調を引き起こした。結果的に、設計内容の変更に加え、JVの代表者だけで落札候補者を決め、入札後に地元企業とJVを編成させる「入札後JV結成方式」を採用、入札時の競争性を確保したという。
 また、全建の近藤駿明富山県建設業協会会長は、入札不調を引き起こす要因について「大型事業に携わった経験のある技術者が発注者側に不足している」と述べた上で「そのしわ寄せが受注者に跳ね返ってくる」と指摘した。「極端な例」と前置きした上で「建築確認が下りる前に入札を執行する事例もある」などと改善を求めた。

提供:建通新聞社