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2017/08/08

社会インフラ健康診断書作成 土木学会

 土木学会(大石久和会長)の「社会インフラ健康診断」特別委員会(委員長、橋本鋼太郎元土木学会会長)は8月7日、▽河川部門(堤防、河川構造物、ダム本体)▽下水道部門(管路)▽道路部門(橋梁、トンネル)―の3部門6施設(構造物)の「社会インフラ健康診断書(試行版)」を公表した。試行版はそれぞれ施設の健康度をA(健全)〜E(危機的)の5段階で評価。施設の維持管理体制の評価についても「改善見込み」「現状維持見込み」「悪化見込み」―の三つのレベルで矢印を使って「見える化」した。その上で、▽維持管理を行う体制と適切な点検・診断・対策の実施▽有効・効率的な維持管理技術の開発▽予算措置―の必要性をあらためて強調。“健康診断”の結果、設計時の想定が低かったために、基本的な体力のない施設が多数存在していることなども指摘し、必要な整備水準を考えた体力チェックと早急な改善を求めた。
 今回の3部門の「インフラ健康診断書(道路部門試行版)」の公表は、2016年5月の道路部門の道路(試行版)の公表に次いで2回目。学会が第三者機関として日本のインフラの健全度を評価し、その結果を公表・解説することで、社会インフラの老朽化の現状と維持管理・更新の重要性、そのための体制整備や投資の必要性と課題を国民に伝え、認識してもらうことを目的としている。
 土木学会の「健康診断書(試行版)」は、米国土木学会(ASCE)や英国土木学会(ICE)の同様の取り組みを参考にしつつ、国土交通省などの施設管理者が公表しているデータや調査結果を基に、土木学会が独自に施設の「健康状態」と「維持管理体制」を指標化した。不測の事態のときに求められる「非常時の機能性」については、個別の診断書で説明した。
 土木学会は、18年度以降も引き続き港湾をはじめとしたさまざまなインフラの健康診断結果を順次公表する。また、この取り組みを開始してから5年が経過する21年度には、社会インフラ全体をまとめた「インフラ健康診断書」を公表することにしている。
 特別委が下した各部門と施設の健康度(A〜Eの5段階)と維持管理体制の診断結果は次の通り。
<河川部門>
 ▽堤防C:現状の管理体制が改善されない限り、健康状態が悪くなる可能性がある状況
 ▽水門・樋門・樋管C:同
 ▽ダム本体B(国管理B、都道府県管理B):同
<下水道部門>
 ▽管路施設C(東京23区・政令指定都市D、都市規模30万人以上C、同10万人以上B、5万人以上A、5万人未満A):現状の管理体制が改善されない限り、健康状態が悪くなる可能性がある状況
<道路部門>
 ▽橋梁C(国道C、都道府県・政令指定都市道C、市町村道D、都市内高速道C、都市間高速道C):現状の管理体制が続けば、健康状態が改善に向かうと考えられる状況
 ▽トンネルD(国道C、都道府県・政令指定都市道D、市町村道D、都市内高速道A、都市間高速道C):現状の管理体制が改善されない限り、健康状態が悪くなる可能性のある状況

提供:建通新聞社