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2019/01/17

建設業法改正へ「当面の措置」

 国土交通省は1月16日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会を開き、担い手確保に向けた「当面の講ずべき措置」として、建設業法改正に向けた検討状況を報告した。適正な工期を設けた見積書の交付と契約を求め、違反した注文者への勧告制度を創設。建設業許可要件を見直し、社会保険未加入業者の許可・更新を認めなかったり、経営業務管理責任者(経管)の配置義務を廃止する。中間報告以降の新たな検討事項として、建設業団体に災害協定を締結する責務を課したり、元請けを通報する下請けの保護規定を設けることも提案した。
 昨年6月の基本問題小委員会の中間報告を踏まえ、建設業法改正の検討状況を報告した。有識者や業界関係者からの意見を踏まえ、建設業法改正案をまとめる。
 今回の法改正の柱である現場の長時間労働の是正をめぐっては、中建審が「工期に関する基準」を作成できる規定を設け、各発注者に実施を勧告できるようにする。適正な工期の基準を明確にした上で、受注者による工期ダンピングを禁止。請負代金だけでなく、工期も含まれた見積書を交付することを受注者に求める。
 「工期に関する基準」に違反して契約を結んだ注文者(発注者、元請け、上位下請け)を勧告できる制度も創設する。一定金額以上の工事では、正当な理由がなく勧告に従わない注文者を公表できる仕組みもつくる。
 プレキャスト部材などの工場製品を一層活用する環境も整備。工場製品が原因で建設生産物に不具合が生じた場合、製造者に原因究明や再発防止を求める勧告制度も創設。正当な理由がなく勧告に応じない製造者を公表したり、措置命令を下すこともできるようにする。
 建設業許可要件を見直し、社会保険未加入企業が許可を取得・更新できない枠組みもつくる。5年以上の経営業務の経験が必要な経管の配置を許可要件から廃止し、経管個人ではなく、企業の経営能力を問う形に見直す。
 会合には、中間報告以降、新たに検討した改正項目も報告。具体的には、昨夏の大規模災害の応急復旧などでの対応を踏まえ、建設業団体に対し、行政機関との包括協定の締結、連絡体制の確保、災害時の連携などの努力義務を課し、激甚化する災害に備える。
 代金の支払いを遅延した元請けを下請けが許可権者に通報した場合、請負金額の減額などの不利益な扱いを受けないよう、通報した下請けを保護する規定を設ける。
 現場への掲示を義務付けている許可証については、下請けに対する掲示義務の緩和を検討。施工体系図の掲示などを条件に下請けについては許可証を掲示しないことを認める。個人事業主が相続などで事業を承継する場合の許認可手続きも緩和する。事前に認可を受ければ、事業承継の発生日に自動的に権利義務を承継でき、許可に空白期間が生じないようにする。

提供:建通新聞社