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中央ニュース

2020/05/15

テレワーク導入 多様な人材確保に効果

 建設経済研究所は、新型コロナウイルス感染症の拡大で急速に広がったテレワークが、建設業に多様な人材を定着させる効果もあると「建設経済レポート」の中で提案している。レポートでは、場所の制約を受けずに働くことができるテレワークが、育児・介護による離職、移動時間の削減による生産性向上、災害時の事業継続、遠隔地の優秀な人材確保にもつながるとそのメリットを強調。現場業務にも導入の余地があるとして、テレワークに必須のデジタル化やICT導入、意識改革の重要性を訴えている。
 レポートでは、建設業が担い手として想定してきた、フルタイム勤務や転勤・残業に対応する日本人男性を“典型的な人材”と定義。その上で、典型的な人材だけでは人口減少下の労働力を補うことはできないと結論付けている。
 建設業はこの典型的な人材を想定して企業運営を進めてきたため、総実労働時間や所定外労働時間が長く、休日が少なく、有給休暇の取得率も低い、社員にとって負荷の高い職場環境にある。女性・高齢者・外国人ら多様な人材に担い手のターゲットを広げるためには、テレワーク、フレックスタイム、育児・介護の両立支援など、経営者が働く場の環境整備に取り組む必要があるとした。
 中でもテレワークは、営業職・事務職だけでなく、現場でデスクワークに従事する社員にも導入の余地が大きいと強調。設計、積算、施工計画・施工図作成、工事施工報告書・日報の作成などに実際にテレワークを導入している事例も紹介している。
 例えば、ある専門工事業では、全ての現場事務所をサテライトオフィス化し、社員の移動時間を短縮。異なる現場担当のコミュニケーションを深めるきっかけにもしているという。あるゼネコンは、全社員を対象にチャットアプリを導入し、テレワークの際の業務連絡を効率化しているという。
 レポートでは、テレワークの利用促進のために、業務改革(業務分析、デジタル化)、ICT導入、制度整備(勤怠管理、進捗管理ルールの設定)、経営者の意識改革、などが求められると強調。中でも、書類などのデジタル化により、社内・社外を問わずに同じ業務ができる環境を目指すことが重要だとしている。
 また、テレワークをはじめとする働き方改革を部署・現場で限定したり、同業他社や元請け・下請けとの連携によってスタートさせることも提案。中小企業には、経営者の判断で社員の個別事情に応じた臨機応変な対応も求めている。

提供:建通新聞社