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2020/10/06

市区町村、4分の1が適正工期設定不十分

 全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が、品確法の運用指針への発注者の対応に関して会員にアンケートしたところ、発注見通しの公表や労務単価の予定価格への反映などは進んでいるものの、適正な工期設定や設計変更などでは、市区町村での対応の遅れが目立った。適正な工期設定について「不十分」とする割合は、国土交通省の工事では10・7%だったが、市区町村では24・0%と4分の1を占めた。
 同アンケートは2015年から毎年実施しているもの。今回は47都道府県のすべての建設業協会と、会員企業の一部を対象に7〜8月に実施。会員企業は1097社が回答した。
 適正な工期設定に関して、会員企業が「十分されている」と「十分ではないがされている」と回答した割合は、国交省が83・3%、都道府県が84・9%だったのに比べ、市区町村は74・4%と約10㌽の開きがあった。一方、「不十分である」との指摘は、国交省が10・7%、都道府県が14・1%だったのに対して、市区町村は24・0%と高かった。
 市区町村では週休2日モデル工事の導入も遅れている。
 適正な工期設定が「十分されている」と「十分ではないがされている」と回答した工事に占める週休2日モデル工事の割合は、国交省が64・8%だったのに対して、都道府県は31・3%、市区町村は6・4%にとどまった。
 工期設定について会員企業からは「いまだに設計金額によって工期が決められている」「発注者側の事前協議が不十分で、受注後すぐに工事中止になる事例がある」「概算発注や、現場に即さない仮設計画などが多く、調査や設計で着工が遅れる」といった指摘があった。
 設計変更手続きを迅速化する設計変更審査会などの会議の実施は、国交省は69・5%だったが、都道府県では25・2%、市区町村では17・2%と大きな差があった。
 必要な契約変更は、国交省では84・3%で「行われている」が、都道府県は68・8%、市区町村は50・1%にとどまっている。
 前年と比べた受注の状況では、51・1%が「変わらない」としたが、前年に24・6%あった「良くなってきた」が13・2%に減る一方、「悪くなってきた」が18・9%から27・1%に増えた。利益についても、「良くなってきた」が前年の31・1%から18・3%に減り、「悪くなってきた」が20・9%から28・0%に増えた。
 利益悪化の要因(複数回答)では、受注の減少(68・5%)、工事原価の上昇(58・3%)、競争の激化(54・4%)などが挙がった。
 今回のアンケートでは、4月からの新運用指針に盛り込まれた生産性向上におけるBIM/CIMの活用や、災害時の対応についても聞いた。
 BIM/CIMについては、「既に活用実績がある」は9・0%で、「今後活用したい」は12・5%にとどまった。「聞いたことはあるが内容不知」が39・7%、「活用したいが課題により取り組めない」が22・3%、「活用の予定なし」が14・4%を占め、認知度を含め、ICT活用と比べ浸透の遅れが際立った。
 災害時の対応では、48・9%が直近1年間に災害復旧工事を受注していた。工事の緊急度に応じて随意契約など適切な入札契約方式が採用されたか聞いたところ、81・6%が「されていた」。しかし、予定価格の適正な設定については、59・8%が「されていた」が、30・2%が「されていなかった」。